王子銀座:花鈴の並びにプチホテル?
ひとまは、東京北区に30年余り住んでいる。(いつのまにか、ひとまの人生で一番長く住んだ土地になった…)
なので、最寄り駅ではないけれど、住まいから徒歩で行ける王子駅までの北本通りは、数えきれないほど行き来してきた。しかし…
ある日、北本通りを通りかかると、あったはずの店がいつの間にか壊されて、新しい店が作られていたりする。すると、そこに以前なにがあったのか覚えていないことに気づく…。たとえば、角にある土地とか、あるいは自分が利用してた建物なら、さすがに覚えてるけど。
今回もそうだった。
少し前から工事をしているのに気づいていたが、以前そこになんの店があったのかかんがえても定かでなかった。
30年の間に数回買ったことのある靴屋ではないかと思うが、あの靴屋なら間口がもっと小さかった。靴屋に並んでもう一件、店があったはずだが…、まったく思い浮かばない。
洋品店だったような気もするが、70代ひとまの記憶はすこぶるあやしい。
それはともかく、
この工事が始まったころ、なんの店になるのだろうと、楽しみだった。
建物の骨格はそのまま利用するらしく、内装工事が、前を通りかかるたびに進んでいた。
やがて、大きなショウウインドウができたので、
(ブティックでもやるのかな。でも、この王子銀座でブティックはどうなの? 衣料品なら近くで、安くて、まあまあのものがいくらでも手に入る地域だし…)
などと余計な心配をしていた。
まもなく、建物の中央に、すこし奥まって真新しいドアができた。
その小さなドアに「〇源ホテル」とある。*「〇源」の〇はパソコンで文字がでないので、写真をご参照ください。
(この地味ィ~な王子銀座に、プチホテル!)
だが、外観から察するに、王子銀座にとけこめる慎ましいホテルらしい。
(パソコンで出ない漢字をつかってるホテル名からおもうに、もしかしたら中国か台湾あたりの人が経営者なのだろうか? だけど、この新型コロナ禍に、果たしてやっていけるのだろうか。計画を始めたころは、新型コロナ禍におそわれるなんて、考えていなかったにちがいない)
もじどおり老婆心ながら心配しつつ、工事の進捗具合を、ときどき前を通るたびに覗いていた。
しばらくして、また通りかかると、どうやら完成間近らしく、男性二人、肩を寄せ、ウィンドウ内でディスプレイ作業をしていた。若いほうの男性がショーウインドウ内のホテル名の上になにやら配置するのを、年配の男性が脇から位置調整を指示しているらしい。
写真を撮っておこうと思い、スマホを取り出した。
すると、作業を終え、出ようと向きを変えた二人が、二人同時にこちらを見た。
あとで写真を見ると、片足上げた姿勢が、まるで示し合わせたみたいに二人同じ格好の瞬間が映っていた。
ホテル ケイゲン テレワークスペース あり
読み方は「ケイゲン」だって!
テレワークスペースもあるプチホテルらしい。
ホテル ケイゲン〒114-0002 東京都北区王子2丁目18−12 大林ビル王子アネックス•03-6903-3566
テレワークスペース料金 1日1500円 半日1000円
少子高齢化で衰退する日本の未来を救うのは…
東京の中央だけでなく、ここ北区でも、他国からの人がめずらしくなくなった。
海外からの人の流入は、島国的性格のつよい日本人にとってかならずしもうれしいとばかりいえないのが現実だ。習慣や、基本的な考えが違うためのトラブルも起きる。
ときに犯罪者もたちまじったりする。
が、大半は、日本人の多くと同様、誠実に生きる人たちのはずだ。
日本の少子高齢化の加速が心配されはじめて久しい。
「このままでは、近い未来、人口が激減し日本の経済はたちいかなくなる!」という不安は、口には出さなくても、多くの日本人の胸底にわだかまっている。
まあ、そのころ、70代ひとまは、この世に存在しないだろうけど…。
しかし、あどけなく幼い子どもたちの未来が、人口減で貧しくなった日本につづいていると考えると、やはり、かなしい。
「出産の増加」だけで補うことができないと分かっているいま、人口を増やすには、他国からの人々を受け入れるほかはないようにおもえる。
他国人の犯罪は、記憶にくっきり残りがち
ところで、ほかの国から来た犯罪者は、日本人犯罪者より濃く記憶に残るような気がする。
数年前、デパートの上りエスカレーターに乗っていた。
ふと、違和感を感じてふり返ると、ひとまのショルダーバッグに見知らぬ手がかかり、そろりとチャックを開けようとしている。
おどろいて振り返ると、すぐ下の段に、東南アジア系の、すこしくたびれたダークスーツ姿の痩せた若い男がいて、スッときゃしゃな手を引っ込めながら
「ごめんなさァい…」と大きな目にせいいっぱいお愛想をたたえてひとまを見上げてた。
仰天した。
エスカレーターが上りついたとたん、なぜか、被害に遭いかけたひとまが、後も振り返らず逃げるようにデパートを走り出ていた。
4、5年もまえのことなのに、ひとまの記憶に細部までくっきりと焼き付いている。
もし彼が日本人だったら、これほどくっきりとひとまの記憶にのこっていたかどうか。
他国人から受けた悪い記憶は強く残るだけでなく、彼らの同胞への偏見につながりやすい。
くりかえしになるけれど、たいていの外国人は、まじめに頑張るつもりで日本に来てるはず。そして、やがては、まじめな彼ら彼女らや、その子孫が、日本人となって人口を底上げしてくれるにちがいない。
きょう日本に生まれたばかりのちいさな人たちの未来のためにも、
ぜひ、ふところを広くして、異国からの彼らをあたたかく受け入れたい
経営者が他国人であれ、日本人であれ、この「王子銀座」にホテルを開くからには、成功してほしい。
応援します。
花鈴の看板ねこ(招き猫?)、いま何匹?
この新プチホテルの並び、すこし王子駅寄りに、花屋の「花鈴」がある。
かつて、わたしがこの街に来た30年前は、まだ「娘さん」といえる年ごろだった女主人が(お嫁さんかも)、中年になったいまも、みたところ、ほぼ一人で切り盛りしてるらしい花屋だ。
花鈴には、そのときどき、いく匹かの猫がいて、売り物の花の鉢や苗の間の空きスペースで、気ままに寝ていたり、ときには客に挨拶するのもいたりする。
なかには神経質なのもいるけれど、たいていはひと馴れしているねこたちだ。
じつは、人間より動物のほうが好きなくらいのひとまだが、事情で飼えない。なので、花や鉢植えなどを買ったときはもちろん、通りすがりのときも、たいてい、ちょっと触らせてもらう。
この日は、チェシャ猫みたいに太ったクロネコ一匹だけ。
棚のてっぺんにねそべり、
(オット、ごくたま~に客になる、バアさんだな…)「オッス、きょうは買わんの?」と、鷹揚に、ひとまを見下ろしてた。
(寝床と餌付き、終身保護保証されてる身分のあんたに、ひとまの国民年金額通知見せたい。きっと、同情のあまり泣くよ。 花屋の前、通るたび花束買える身分になるのがひとまの夢なんだからね…)と、心で返して背を向けた。
……なんて。ハハハ…。(かなり本心なのが、かなしい)
ところで、いま、花鈴の看板ねこ(招き猫?)何匹いるの?
コメント
[…] 花鈴の前を過ぎ、品揃えのわりといい古くからある文房具屋さんの前の信号をわたると、左手にある焼き鳥屋さんの前に人が並んでた。 […]